どうしても書きたかった日記
黒い影が見えた。
黒、としか表現できないほどその影は黒かった。
烏や、夜のような黒ではなく、ただの黒、であった。
その黒い影はおそらく人であった。
ふと、絵などでしか見たことのない忍者の姿が思い浮かんだ。
―忍者?
そんなもの、この現代社会にいるわけがない。と思った。
しかし、思えばここは現代社会、と誰かに守ってもらえるような安全場所なのであろうか。
ふと、自分のいる場所がわからないことに気付いた。
でも違和感は感じず、しかし安心はできず、かといって焦りも危険も感じなかった。
ただ、その黒い影が気になった。
そのおそらく忍者は、何かをしゅんっと投げた。頬を何かがかすめたような気がした。
頬に触れると、赤がついていた。説明するまでもなく、血である。
あちらはこちらに、敵意があるのか。
恐怖より悲しさを感じた。
戦いたくないというのに。
「そっちがそうなら」
私は何かを投げた。
その辺の何かしらを投げたので、自分自身ですら何を投げたかわからない。
忍者は素早い動きで逃げたが、なぜだかその何かは忍者の体に激突した。
「…!」
その瞬間、忍者と私は激闘を始めた。
シャキンシャキンときれいな金属音がなる。うっとりする暇は当然ない。
「何でこんなことをするの。私はあなたに恨みなどない」
「目が、合ったから」
忍者の悲しそうな赤い眼だけが見えた。
それ以外何も見えないような夜のことだった。
という初夢でした。またしばらく消えますゆえ!どろん!